医師転職の定番
「5、6回目からは少し間をあけて全部で2回おこないました」と、S山教授は説明する。
2回くりかえしたのは、遺伝子を導入したリンパ球という細胞は成熟しきった細胞で、寿命が限られていると考えられていたためだ。
「遺伝子が入っても数週間か、大部分は数カ月で死んでしまう。
いろいろなはたらきをもったリンパ球があり、はたらきによって寿命もちがってくるだろうと考えられているが、どれくらい寿命があるかはまだわかっていないんです。」
ひょっとしたらごく一部は、何年も生きているかもしれないが、いずれにしてもずっと生きつづけるわけではない。
男の子は現在13歳。
中学1年生になった。
これまでに遺伝子治療による副作用はない。
正常なADA遺伝子をもっているリンパ球の割合は、遺伝子治療中には約10%、治療をやめてからは約5%。
また、ADAという酵素の活性は、遺伝子治療中に30〜40単位(正常の人は50〜500単位)を示すこともあったが、治療をやめると10単位以下になった。
それでもふつうの生活を維持することができて、学校に通っている。
酵素補充療法は続けているのはごく一部なので、何回かくりかえさないと、一定のプール、つまり遺伝子をもった細胞をからだの中に一定量維持することはできないだろうと考えたわけです。この最初の遺伝子治療は、男の子が小学校に入る間際の97年3月に終了した。
遺伝子を導入して体内にもどすと、リンパ球の数は2000〜3000個に増えたものの、1ヶ月ほどすると元にもどってしまった。
ただ、患者のリンパ球の中に、ADAをつくることのできる正常な遺伝子が組みこまれたリンパ球が約5%存在しつづけていることがわかった。
「やはり寿命の長いリンパ球が一部は存在することが、この治療で明らかになったわけです。
1回の治療で遺伝子がうまく組みこまれる割合は5%前後。
その一部に寿命の長いリンパ球があって、それが治療のたびに少しずつ上積みされたと考えられます」その影響で、酵素補充療法だけではウイルスや菌に対する抗体をつくる能力がなかったのが、自分で抗体をつくれるようになった。
そのおかげで、それまでしていたガンマグロブリンという抗体の補充をしなくてもよくなったことから、生活の制限が解け、男の子は小学校に入学するとアメリカとイタリアでは2002年秋から暮れにかけて、各4人の患者で治療をした。
アメリカは酵素補充療法を併用して遺伝子治療をしたが、03年末の時点で4例ともうまくいかなかった。血液幹細胞に遺伝子を組みこんだフランスの治療で副作用一方、フランスでは99年、男の子だけがなるX連鎖性重症複合免疫不全症(XSCID)という病気で遺伝子治療がおこなわれた。
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